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SF新世紀 レンズマン 《監督 キャラクターデザイン》 1984年度作品 劇場映画

作品紹介

 レンズマンは、アメリカのSF作家E・E・スミスによって1937年の第1作『銀河パトロール隊』からスタートして10年以上に渡って書かれたスペースオペラSFシリーズ。銀河文明と敵対するボスコニア文明の全面戦争の中、地球人レンズマンである主人公のキムボール・キニスンの活躍の物語である。1984年に『SF新世紀レンズマン』としてアニメ映画化され、劇場公開された。映画版の主題歌「STARSHIP -光を求めて-」はTHE ALFEEが歌った。また1984年から85年にかけて「GALACTIC PATROL レンズマン」としてTVアニメ化もされ、放送された。
 1983年に制作された出崎統監督作品『ゴルゴ13』は純国産のコンピューターシステム・LINKS-1を使って生成された3DCG映像を劇中に使用し、1984年に制作された『SF新世紀レンズマン』ではJCGL(ジャパン・コンピュータ・グラフィックス・ラボ)が担当し、当時としては画期的なCG映像が作られた。JCGLは金子満によって1980年に設立された日本最初の商業CGスタジオで、金子氏は1983年には東京工業大学の安居院・中嶋研究室と共同で2Dアニメーションの研究を行いながら、TVアニメシリーズとして世界初のCGによるデジタル彩色を行った『子鹿物語』を制作している。大口孝之によると、『SF新世紀 レンズマン』 のパイロット版はセルシェーディングを使用して制作したが、プロデューサーからセルと同じなら手で描けると言われて、テストの段階でNGになってしまったそうだ。もし採用されていれば商業作品として最初のセルシェーディング作品になっていたのかもしれない。
 手描きのセルアニメパートも出色の出来で、監督の川尻善昭も自ら原画を担当し、さらに森本晃司、福島敦子、梅津泰臣、大塚伸治なども原画として参加している贅沢な陣容で、作画枚数7万枚を優に超えている。森本晃司によればアクションシーンは思う存分描いたとのことである。
 1984年という当時では技術的にもマシンパワー的にも様々な制限があった時代に、デジタル技術を使ってエンタテインメントな商業アニメ作品を作ろうと試みたことはもっと敬意が払われてよいのではないかと思うし、またこのような歴史的な作品が見ることのできる機会が殆どないのが大変残念でならない。(T.meiri)


ストーリー

 西暦25世紀。凶悪なボスコーン帝国が大銀河連合に侵略を開始した。平和な大銀河に危機が迫った。小惑星開拓者で地球人の青年キムボール・キニスンは、ボスコーンに追われる若者から超能力を秘めたレンズを託され、銀河パトロール隊の一員・レンズマンとなり、ボスコーンと戦うことになる。ボスコーンの戦艦を葬りさるため、苦しみながらも戦艦に乗り込んだキニスンは意を決してレンズをかかげると・・・。



スタッフ

監督:広川和之、川尻善昭
脚本:吉川惣司
キャラクターデザイン:川尻善昭、富沢和雄
メカニックデザイン:渡部隆、森本晃司
作画監督:富沢和雄、北島信幸
美術監督:青木勝志
撮影監督:八巻磐
音楽監督:井上鑑
主題歌:アルフィー『STARSHIP -光を求めて-』、挿入歌:アルフィー『愛の鼓動』
音響監督:明田川進


キャスト

キムボール・キニスン(声:古川登志夫)
クラリッサ・マクドガル(声:小山茉美)
バン・バスカーク(声:大塚周夫)
ウォーゼル(声:野沢那智)
ゲイリィ・キニスン(声:中村正)
ヘインズ提督(声:柴田秀勝)
ソーンダイク(声:青野武)
ソル(声:斉藤ゆう子)
ヘルマス(声:加藤精三)
グリードル(声:矢田耕司)
金髪のレンズマン(声:横内正)
ナレーター(声:蟹江栄司)




参考文献
東映アニメーション(2012年5月)「日本のフルCGアニメは根付くのか? 大口孝之インタビュー」, [online]http://www.toei-anim.co.jp/sp/ee_cgmovie/article/008/all.html(参照2015-12-3)